潮の香り06

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アオウミガメとテトラポット

十月上旬にライフセービング界のチョイワルオヤジ三人衆?のグッチ、トヨッチ、ミックの三人(誰かは、すぐ分りますね!)が、青森県八戸周辺へサーフトリップしてきました。

本州の最北端なのでかなり寒いのではないかと思っていましたが、湘南よりも気温でわずか2~3度、水温でも3~4度くらいの違いだったので、かなり快適な旅でした。

2日目、我々は強い北風をかわすポイントを探し続けて岩手県久慈市まで移動しました。遊べそうな河口のポイントはあっても、数百匹のサケが遡上していてサーフィンすることはできず、仕方なく誰も入っていない近くのリーフポイントで入ることにしました。
しかし、そこはテトラポットがインサイドに入り、ブレイクポイントにも強い流れが入って、またピークの手前にはケボゲボと我々がワイプアウトするのを待ち構えているかのようなシャローリーフが牙をむいていました(詳しくは「波伝説」内の無料コンテンツ ウラナミ☆を参照)。

海外にはテトラがない?

テトラポットさえ投入されなければ、安全にサーフィンが楽しめたサーフポイントは日本中に数限りなくあります。
鹿児島県種子島ハングリー、宮崎県赤江川河口、一ツ葉海岸、福岡県鐘崎海岸、福井県高浜周辺、新潟県五十嵐浜周辺、徳島県宍喰、内妻海岸、三重県伊勢国府の浜、愛知県豊橋・伊良湖の数多くのビーチ、静岡県伊豆河津浜、東京都新島和田浜周辺、千葉県鴨川シーサイド、大原、夷隅、飯岡、茨城県河原子周辺、宮城県荒浜周辺、そして青森県六ヶ所村周辺など。
いままで私がチェックまたはサーフィンしたポイントだけでも、軽くこれだけのポイントに、景観的に著しく醜く、また高波の時には強い流れが入って著しく危険な"テトラポット"が投入されています。

しかし、いままでに訪れた海外20カ国ほどのコーストラインにおいては、テトラポットを一切見ることはありませんでした。
唯一サーフトリップ後に知ったことですが、モルジブの首都マレーには、日本のODAによりテトラポットが投下され、先のスマトラ沖地震では大津波をテトラがブロックしたそうです。よって消波ブロックとしてのテトラポットをすべて否定する訳ではありませんが、その醜い景観と危険な流れ、そしてサーフィンに適した波を台無しにしてしまうのが許せません。

江戸時代に、美しかった日本の海岸線を歩いて測量した伊能忠敬が今を見たら、きっと嘆き悲しむことでしょう。

アオウミガメの産卵場所

だいぶ話が寄り道しましたが、タイトルの話に移しましょう。
先日サーフライダースファウンデーションのシンポジウムに参加して、愛知県伊良湖の表浜(おもてはま)での環境を守るサーファーらの取り組みの発表を聞きました。表浜には海岸線に沿って横一直線にテトラポットが埋められて、テトラに当たって砕けた波のしぶきによる塩害がひどく、海岸沿いの住民はえらい迷惑をしているそうです。

また表浜は、アオウミガメの産卵場所としても有名なのだそうですが、カメはテトラを越えられず、数十メートルときには数百メートルも横に移動して、ようやくテトラの切れ目を見つけ岸寄りのわずかな砂浜に何とか産卵しているそうです。またテトラを超えられないカメに至っては、その手前に産まざるを得ないために、結局は高波で砂が削られて卵は流されてしまい死んでしまうのだそうです。

さらに運良く生まれた赤ちゃんカメも、テトラにブロックされて海にたどり着けずに死んでしまったり、海までかなり長い移動を強いられるために、途中で天敵のカモメやカラスに食べられたりしてしまうケースもあります。

地元と国交省の協同作業

しかし良い発表・報告もありました。それは彼らと国土交通省との共同実験の成果です。
一部のテトラポットを撤去して、そこに以前から表浜に生育していたコウボウムギなどの海岸植物を植えた実験です。かつての国や地方自治体の公の工事で、その工事を否定するかのように、のちに撤去がされた事例はほとんどありません。

実験にしろ、テトラポットが撤去されたことは、とても画期的なことなのです。潜在自然植生(昔から生育していた植物)のコウボウムギなどの地下茎は、1m以上も深く砂浜に張り巡らされ、波の浸食にとても強いことが実証されたのです。テトラはいずれ砂浜に沈んで用を成しませんが、植物は年々移動しつつも、また高波にさらわれようとも、費用がかからずにいずれは自然に復活して元に戻ります。

さらに地元サーファーらは、養浜(砂を増やすこと)を費用・労力をかけずに行う方法のひとつとして、堆砂垣(冬の鵠沼などに竹でビーチに作られる飛砂防止のための柵)を、付近の雑木林から切り出してきた竹などを使って作った実験でも効果をあげています。

1個のテトラポットの設置費用は大きさによって差がありますが、およそ25万円~75万円で、ひとつのビーチで何十億円という途方もない税金がいままでに日本全国の海岸で無駄に使われてきました。

みんなで美しいビーチを!

もしもライフガード3名を、ビーチに1年を通して配置して、その人件費に救助資材などの経費を入れたとしても、年間で2000万円はかからないでしょう。
。しかもライフガードは事故防止を図り、万一の場合には人命を救い、そして海浜利用者らに海の知識を教えます。

将来、もしもテトラポットを撤去することができたら、地元を中心に『○○海岸(浜)を愛する会』を、サーファーらや各ライフセーバーが中心となって立ち上げ、秋には皆で近くの山で許可を得た間伐採をして、森林の手入れを手伝いつつ、その間伐採の木を利用して堆砂垣を作れば、地球に優しい自然の循環サイクルをサポートしながら、美しいビーチを残すことが可能になるでしょう。

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