ワールドレポート04

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RESCUE2006 北矢選手、ビーチフラッグス銀!男泣きのわけ

ビーチ・オーシャン競技2日目には、メダルへの期待に押しつぶされそうなプレッシャーに耐え続け今日に備えてきた北矢・藤原両選手が出場するビーチフラッグスが待ち構えていた。

両選手とも順調に決勝まで駒を進めた。
藤原選手は遊佐選手の出場辞退を受け、遅れてのナショナルチーム入りで心身ともにコンディショニングにも苦労があったかと思われる中で6位獲得。
ポイント追加に貢献してくれた。

一方北矢選手は決勝の1回目のレースで、隣を走っていたアメリカの選手との接触により、フラッグを取り損なってしまうというハプニングが起こってしまった。
直ちに北矢選手と遠藤監督は、アメリカの選手のインターフェアをジャッジにアピールした。
チームで撮影をしていたビデオと、日本から応援に駆けつけていた北矢選手と同じ西浜SLSCのメンバーが正面から撮影していたビデオも資料として確認して貰うことができ、結果として抗議が認められた。

アメリカの選手は失格となり、北矢選手はその後もレースを続けることができることになった。

もう負けるわけには行かない・・・という気迫を体全身にみなぎらせて、次々とレースを勝ち進み、メダル獲得が確実になったときには誰もが、「ここまで来たら金だって夢じゃない!」という気持ちになった。

いよいよ最後の1本を競う相手は、おなじみモーガン・フォスター(NZ)選手。

静寂の中、ホイッスルの合図で完璧なスタート。しかし最後のフラッグを手にしたのは、残念ながら北矢選手ではなかった。
モーガン・フォスターの優勝が決まった次の瞬間、北矢選手はモーガン選手と固い握手で健闘を讃えあったが、同時に人目をはばからず声を上げてしばし男泣き。メダル獲得の喜びとプレッシャーから開放された安堵感の他に、北矢選手の涙にはもうひとつの理由があった。

世界大会出場の晴れ舞台を、家族で応援に来るべく準備をしていたにもかかわらず、出発を目前にしてお父様が倒れられたのだ。
急遽家族全員旅行を取りやめ看病にあたることとなり、北矢選手は病状を心配しながら日本を出発してきた。

彼は何とか病床に良いニュースを伝えられるよう、頑張りたいとの強い思いがあったのだった。

メルボルンへ向かう飛行機の中でこの話を聞いていた私は、競技エリアから出てきた北矢選手に携帯電話を手渡し、その場で報告の電話をするよう促した。
 話の向こうの家族の祝福の言葉に、何度も「ありがとう」と泣きながら繰り返す光景に、私も思わず涙がこぼれた。

日本、世界のトップ10入りの快挙達成

1、2日目のプール競技での快挙も報告をしたい。女子4×50m障害物理リレーA決勝7位(日本新)、女子4×25mマネキンリレーA決勝6位という好成績は、大きく評価されるものである。

男子チームも多くの種目でB決勝に進みポイントを重ね、プール競技総合12位を獲得した。

会場をローンに移してのビーチ・オーシャン競技。まだ暗いうちにジーロンを出発し、美しい朝焼けとともにローンに到着。
オレンジ色の荘厳な光を放ちながら昇る朝日が、ステージや観客席等をはっきりと映し出す中で、チーム全員円陣を組み、改めて健闘を誓い合った。

選手陣もいよいよエンジンフル回転だ。
オーストラリア・NZ・南アフリカ等の強豪チームに立ち向かって行き、多くの種目で順調に予選を通過した。

特に男女共にボードレスキュー、男子ビーチスプリント、男子ビーチリレーのA決勝出場はチームの士気を大いに盛り上げる結果となった。
アイアンマンでは長竹、アイアンウーマンでは中曽根・稲垣両選手ともに決勝進出。彼らのトップ集団に必死で食らいついていく勇士には、目を見張るものがあった。
翌日のサーフレースでも見事に世界のトップ10入りを果たし、9位という輝かしい成績を残した。

ホスト国のライフセーバー魂に感動

競技中、ビーチを歩いていた中曽根選手が、素足で大きな太い釣り針を踏んでしまい親指にぐっさりと刺さってしまうという不運に見舞われた。

すぐにファーストエイドの係に知らせると、緊急車輌が迎えに来てメディカルステーションに搬送された。
医師から麻酔をして針を除去する旨の説明があり、痛いのと怖いのとで、すっかり心細くなっている中曽根選手はナースに慰められながらも身を任せるしかなかった。

処置は手際よく施され、すぐ後のボードレースに出場したいという本人の意思表示に、傷口にはバンデージがしっかりと巻かれた。
「出ても良いが、終了後は必ず破傷風の注射を受けること」という指示と、処方箋を受け取り、「Good Luck!」という優しい笑顔に送り出され競技エリアに戻ることができた。

後になって、昨秋にナショナルチーム候補選手の合宿にコーチとして来日したBrett・Dowker氏に会場で出会い、この話をしたところ先ず彼の口をついて出たのが、「ビーチにそんなものが落ちていて本当にごめんなさい・・・。」という言葉だった。
大会のホスト国のライフセーバーとして、この言葉がいとも自然に語られる彼のライフセーバー魂に感動した。

監督、選手、そして協力スタッフお疲れ様です

チームを率いて総合12位という成果を勝ち取った遠藤監督、数々の国際大会の経験を生かしリーダーシップ発揮した林チームキャプテン、頼りがいのある補佐役を務めた稲垣女子キャプテン、そして好成績を残した選手たち、ボランティアとして参加してくれた青木コーチ、通訳の西嶋さん、川上さん本当にお疲れ様でした。

今回も私はコーディネーターとして同行し、世界大会ならではの数々のドラマを共有できたことに心から感謝したい。

RESCUE2006 WORLD LIFESAVING CHAMPION SHIP

開催日:2006年2月14日~18日 プール2月14,15日 ビーチ2月17,18日
場所:オーストラリア・ビクトリア州 Gleelong/Lorne
主催:国際ライフセ-ビング連盟
参加国:33ヵ国

日本選手団編成
団長 小峯力 日本協会理事長
監督 遠藤大哉 日本協会競技委員会副委員
男子選手
林昌広キャプテン(湯河原LSC)
池谷薫(柏崎LSC)
青木将展(柏崎LSC)
北矢宗志(西浜SLSC)
青野武士(茅ヶ崎SLSC)
長竹康介(西浜SLSC)
女子選手
稲垣裕美 副キャプテン(大竹SLSC)
鈴木郁蘭(岩井LSC)
伊藤彩香(九十九里LSC)
藤原梢(平塚LSC)
鈴木佐弥子(九十九里LSC)
中曽根麻世(九十九里LSC)
コーディネーター 相澤千春 日本協会国際担当
ボランティアコーチ 青木克浩(柏崎LSC)
通訳ボランティア 西嶋智美(茅ヶ崎SLSC)
通訳ボランティア 川上さくら(大竹SLSC)

総合順位
プール競技総合 12位(65ポイント)
SERC10位(7ポイント)
ビーチ・オーシャン競技総合 7位(156ポイント)
総合12位(228ポイント)

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